2005年10月30日

反射運動ならびに随意運動における神経系の調節

8f4464a2.jpg感覚性刺激に対する中枢神経系の一定の反応を反射という。
代表的な(伸張)反射である膝蓋腱反射に基づき以下に活動電位の流れを示す。

骨格筋の中には筋線維(錘外筋線維)と筋紡錘(錘内筋線維)が混在している。
突然、膝下を叩かれる事により大腿四頭筋の錘外及び錘内筋線維はわずかに伸ばされる。すると、筋紡錘内にあるストレッチ感受性のイオンチャンネルが開く事を引き金にして、Naイオンの流入、すなわち、活動電位が発生する。

活動電位は大腿伸筋群支配のα運動ニューロンに伝わり、そこでまた活動電位が発生して大腿四頭筋が収縮を起こす。この時、筋紡錘から伝わってきた活動電位は脊髄内で枝分かれし、介在ニューロンに活動電位を生じさせる。この介在ニューロンは大腿屈筋群(大腿ニ頭筋)支配のα運動ニューロンに抑制性伝達物質を放出し、大腿ニ頭筋は弛緩する。
このように、伸筋が収縮するとき、その拮抗筋である屈筋は弛緩する。
逆に、屈筋が収縮するときは伸筋が弛緩する。このような関係を相反神経支配と呼び、屈筋反射が強く起きるほど伸筋に対する抑制も強くなる。

伸張反射は随意運動中、すなわち大脳によって企画されて遂行されている運動中には出現しにくい。

これは随意運動中には筋紡錘の感度が上位中枢から調節されているからである。
この感度の調節を行うのがγ運動ニューロンである。

膝蓋腱反射においては、筋紡錘の活動電位発生が反射のスタートであった。
この時、筋紡錘から発する求心性神経から活動電位が記録される。
次にα運動ニューロンからの軸索を電気刺激すると筋線維が短縮し、筋紡錘は弛緩してしまう。その結果、筋紡錘からの活動電位は一時ストップする。
この時、α運動ニューロンからの軸索を電気刺激すると同時にγ運動ニューロンも同時に刺激してみると、筋紡錘もたるまない為に、求心性神経から連続的に活動電位が記録される。

このように、α運動ニューロンと同時にγ運動ニューロンをコントロールすることによって、外見的には同じ運動であっても、反射が起こったり起こらなかったりする。

随意運動をいかにスムースに行うかということは、脊髄中の両ニューロン(α運動ニューロンとγ運動ニューロン)の活動様式をいかにうまくコントロール出来るかに依存している。

随意運動における両運動ニューロンに対する命令は、大脳皮質運動野に端を発し、錐体路あるいは錐体外路を伝導してくる。
これらの命令の源である大脳には機能の局在性があり、特に、骨格筋と大脳皮質に含まれる特定のニューロンとは1対1の対応をすることが確かめられている。
さらに、小脳と大脳基底核にあるニューロンの活動も随意運動に先行して活発になる。

小脳と大脳基底核は、大脳皮質の広範囲な部分から入力を受け、一方では視床を経由して大脳皮質に出力している。

このような知見から、大脳皮質運動野に端を発する運動命令の発現を制御しているのは、大脳皮質よりむしろ小脳、大脳基底核などの深部の構造であると考えられている。
特に速い運動では小脳が、遅い運動では大脳基底核が重要な役割を演じているようである。

スポーツのように巧みさを要求される身体活動や、手順を伴うような作業は、最初は脳全体を活動させているが次第にその動作に慣れてくると、無意識にスムースな運動・動作が出来るようになってくる。

それは、大脳基底核が手順に関与していて、小脳が円滑さに関与していると考えられている。そして、最終的には運動野・運動前野・補足運動野にプログラムされて、長期的に安定した技として貯蔵されていると考えられている。
posted by NOGU at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ医・科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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