2005年12月21日

持久的競技パフォーマンスを決定する生理学的要因について

b761c26e.jpg持久的競技パフォーマンスを決定する生理学的要因については、これまでに、最大酸素摂取量に代表される最大能力に着目したものや、乳酸性作業閾値(Lactate Threshold;LT)に代表される血中乳酸濃度に基づく最大下能力に着目したものを中心に、数多くの検討が行われている。

また最近では、実際の長距離走競技中におけるパフォーマンス低下のメカニズムを明らかにすることによって、長距離走競技パフォーマンスに影響を及ぼす要因について検討することも行われている。

そこで、今回は、持久的競技パフォーマンスに関与する生理学的要因について述べる。【最大能力】
長距離走競技においてはそのエネルギー供給が主として有気的に行なわれるために、最大酸素摂取量が競技成績を決定する重要な要因の一つであることが報告されている。
一流ランナーの最大酸素は70〜85 ml/kg/minにも達することが報告されており、競技パフォーマンスと密接な関係にあるといえる。

ところが最近になり、最大酸素摂取量を測定するために用いられる漸増負荷走運動テストにおいて疲労困憊に至った時点の走速度、すなわち最高走速度が、最大酸素摂取量よりも長距離走競技パフォーマンスと密接な関係にあることが報告されている。

また、最高走速度などを用いた高強度ランニングにおいて疲労困憊に至るまでの時間(Time to exhaustion)が長距離走パフォーマンスを評価する方法として用いられている。

これらのことから、長距離走パフォーマンスを向上させるためには、まず競技者自身の最大有気的能力を高める必要性があるといえる。

【血中乳酸濃度に基づく最大下有気的能力】
従来から、持久的競技者は身体に摂取できる酸素量の大きさ、すなわち最大酸素摂取量が重要であるといわれてきた。

しかしながら、同一水準の高い最大酸素摂取量を有する競技者間においても、パフォーマンスに差がみられることもあり、近年では、乳酸を蓄積せずにいかに高い強度の運動を遂行できるかという能力も持久的競技パフォーマンスを決定する重要な要因であることが報告されている。

特に、漸増負荷運動中の血中乳酸濃度が急激な上昇を示す運動強度をLT、血中乳酸濃度が4.0 mmol/lに相当する運動強度を血中乳酸蓄積開始点(Onset of Blood Lactate Accumulation;OBLA)と呼び、いずれも持久的競技パフォーマンスを評価する指標として広く用いられようになってきている。

LTおよびOBLAは、ミトコンドリア密度、酸化系酵素活性および毛細血管密度等の骨格筋における酸化的代謝能力に関係する指標と高い相関関係にあることが報告されており、それらは最大酸素摂取量よりも高い相関関係にあることが報告されている。

従って、持久的競技パフォーマンスとも非常に高い相関関係にあり、特に走距離が長くなるにつれて最大酸素摂取量よりも相関関係が高くなることが示されている。

【マラソン競技パフォーマンスに関与する生理学的要因】
Joyner は、持久的競技を代表する存在であるマラソン競技における競技成績を決定する要因について、最大酸素摂取量、LTおよびランニング効率の3つの指標を用いてマラソン競技における男子世界最高記録を予測することによって検討している。

この報告によると、最大酸素摂取量が84 ml/kg/minに達し、LTの水準がその85%に相当し、かつ高いランニング効率を発揮することが可能であった場合1時間57分58秒の記録が達成されるとしている。

この報告で用いられた生理学的指標の値は、それぞれ実在する値であるが、平成17年12月時点において2時間を下回るマラソン記録は達成されていない状況にある。

このことから、持久的競技パフォーマンスに関与する要因については、さらなる検討が必要であるといえる。

【マラソン競技における走速度の低下に影響を及ぼす要因】
三本木らは、マラソンレースにおけるレース前・後半の走速度の変化率と最大酸素摂取量、および血中乳酸濃度が2.2 mmol/lに相当する走速度であり、持久的運動中に酸素摂取量や心拍数を一定に保つことのできる最大の運動強度であるとされている最大定常速度(Maximal Steady State;MSS)との間には統計的に有意な相関関係が認められなかったこと、レース前・後半の走速度の変化率と5回連続リバウンド型跳躍の跳躍高の変化率との間に統計的に有意な正の相関関係があったことを報告しており、伸張-短縮サイクル運動における筋パワーを高い水準で保つことが走速度を維持する上で重要であることを示唆している。
posted by NOGU at 00:06| Comment(4) | TrackBack(0) | スポーツ医・科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、マラソンに関心があるものです。
『ところが最近になり、最大酸素摂取量を測定するために用いられる漸増負荷走運動テストにおいて疲労困憊に至った時点の走速度、すなわち最高走速度が、最大酸素摂取量よりも長距離走競技パフォーマンスと密接な関係にあることが報告されている。』という記事の元論文がごぞんじでしたら、私宛にEメール(ino@umich.edu)を賜れませんでしょうか。
Posted by 猪原直弘 at 2006年04月13日 10:54
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Posted by oakley サングラス at 2013年08月02日 14:15
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Posted by オークリー レーダーロック at 2013年08月02日 15:39
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Posted by オークリー サングラス at 2013年08月05日 16:56
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