2006年01月25日

ブリックトレーニング

9229f611.jpg「トライアスロン」とは、スイム(Swim)、バイク(Bike)、ラン(Run)を連続して行なう競技である。

トライアスロンは、3種目を一人の人間が連続して行なうという競技特性、そして、トライアスロン競技の発祥とされ、現在では「アイアンマンディスタンス」と呼ばれる競技の過酷な距離設定から「鉄人レース」とも比喩されている。

トライアスロン競技は、これまで3種目の独立した競技が連続して行なわれるというイメージが強かったのだが、トライアスロン競技がオリンピック種目として正式採用されるに際してオリンピックディスタンス(Swim:1.5km,Bike:40km,Run10km)競技がポピュラーとなり、それと時を同じく実施されたルール改正に伴い、近年では「トライアスロン」という一つの競技が確立されつつある。これらのことから、トライアスロン競技において各種目毎の独立したトレーニングはトライアスロン競技に必要とされる生理学的適応を引き起こすためには、充分ではないと考えられている。

しかしながら、現在も尚、トライアスロン競技おけるトレーニングは主として各種目毎に行われている。

これは、トレーニング環境上における制限によるものなのかもしれない。

ところで、Hueらは、Cycle運動の後に引き続き行われるRun運動において、Run運動を単独で実施した時と比較して、より大きな換気応答がみられたことを報告しており、いわゆる“トランジション”が、Cycle-Run連続運動時に特異的にみられる換気応答を引き起こしていることを示唆している。

そして、このことが、トライアスロン競技におけるパフォーマンスを決定する要因であることを示唆しているのである。

従って、トライアスロン競技におけるトレーニング、特にRunトレーニングは、Cycle-Runという連続した形式で行なわれるべきであると考えることができる。

このことは、特にオリンピックディスタンストライアスロン競技(Swim:1.5km、Bike:40km、Run10km)におけるRun種目が、近年におけるルール改正(ドラフティングの許可)により最終順位を決定する上で重要な種目になっていることからも理解することができよう。

一方で、トライアスロン競技のトレーニングとしてCycle-Run運動を繰り返し行なう「ブリックトレーニング」等とも呼ばれる「multi-block training」が古くから実施されているが、「multi-block training」がCycle-Run連続運動時の換気応答ならびにトライアスロン競技におけるRun運動に及ぼす影響については明らかにされていないことも多い。

ところが、最近のHueらの研究結果において「multi-block training」が、Cycle-Run連続運動時にみられる特異的な適応を再現するために非常に良い方法であることが示唆されたのである。

すなわち、“トランジッション”が連続して出現する「multi-block training」は、Cycle-Run連続運動時における換気応答を改善し、トライアスロン競技におけるRun運動時のパフォーマンスを向上させる可能性があることが示唆された訳である。

一方、「multi-block training」では血漿乳酸濃度および血漿エピネフリン濃度が高い傾向を示し、「multi-block training」のような運動は、そのエネルギー供給を解糖系に依存する傾向にあることが示唆されている。

持久的な競技においてエネルギー供給を解糖系に依存することは、不利益であると考えることができるが、血漿乳酸濃度およびカテコールアミン濃度の上昇が見られたのは、被検者の「multi-block training」のようなタイプのトレーニング経験の少なさによるものなのかもしれない。

またそれらは、上半身の筋群の活動に関係している可能性もあると考えられる。

Cycle運動は、上半身の筋群の活動をも必要とする運動であることがしられているが、Hookerらは相対的強度が同一強度である場合、腕による運動における血漿エピネフリン濃度が有意に高い値を示すことを報告している。

すなわち、上半身を固定させる必要性のあるサイクリング動作は、ランニング動作よりも上半身の筋群の活動が大きいことが考えられ、このことから、Bike競技パフォーマンス、ならびにBike競技の後に引き続き行なわれるRun競技パフォーマンスを向上させるためには上半身の筋群の強化が必要であると考えることができる。

いずれにしても、“トランジッション”が連続して出現する「multi-block training」は、Cycle-Run連続運動時における換気応答を改善することが可能となり、特異性の原則という側面も踏まえて考えれば「multi-block training」の効果は評価すべき点であるといえよう。
posted by NOGU at 12:14| Comment(0) | TrackBack(0) | トレーニング情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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