2006年01月27日

ダイエットのうそホント!?〜食事制限の意義とは!?〜

e4a58ed5.jpg古くから効果的なダイエット法としてしられている「食事制限」。

ダイエットの基本は摂取エネルギーと消費エネルギーのマイナスバランスを生じさせることであり、そのための方法として食事制限による摂取エネルギー源の抑制が有効であると考えられている訳だが、その一方で「食事制限によるダイエットは除脂肪体重を減らし体脂肪の減少には有効ではない。」ともいわれている。

しかしながら、摂取エネルギー量を抑制することが、除脂肪体重の減少、あるいは体脂肪減少に及ぼす影響について詳細に言及されていない部分も多いといえよう。そこで、今回は人間の「代謝」という機能を明らかにすることで、食事制限による摂取エネルギー量の抑制が除脂肪体重の減少に及ぼす影響、そして、体脂肪減少に及ぼす影響について考察、推論してみたい。

私たちの身体は、体外から摂取した栄養素を基に体成分を合成し、それを分解することで生命活動を維持するためのエネルギーを得ており、前者を「同化」、後者を「異化」と呼んでいる。

そして、私たちの身体は同化と異化とを繰り返しており、代謝とは、これら過程で起こる全ての化学変化とエネルギー変換を意味している。

筋肉が動くため(筋収縮するため)には、ATP(アデノシン3リン酸)が分解(加水分解)される際に生じるエネルギーを必要とするが、骨格筋内に存在するATPは、その量に限りがあり、筋収縮を継続する、すなわち身体を動かし続けるためにはATPが消費(分解)される一方、それと同時にATPの産生が行なわれなければならない。

そのATPの産生に必要なのが、糖質、脂質、タンパク質というエネルギー源ということになる。

糖質、脂質、タンパク質は、それぞれエネルギー源としての役割を担っているが、それぞれが全く独立して作用している訳ではなく、代謝を考える上では、これらエネルギー源の相互作用について考える必要性があるということは以前にもお伝えした通りである。

ところで、人間の生命の中枢ともいえる脳は、通常、血糖のみをエネルギー源としている。

従って、私たちの身体にとって血糖値を正常範囲に維持することは、極めて重要な意味を持ち、私たちの身体には血糖値を正常範囲に維持するためのメカニズムが備わっている。

血糖値は、早朝空腹時で80〜100mg/dl程度であるといわれているが、糖質を豊富に含む食後には130〜140mg/dl程度にまで上昇するとされている。

いずれにしても、食後には血糖が増加することになり、増加した血糖は骨格筋や肝臓などの組織に取り込まれエネルギー源として利用されたりグリコーゲンとして蓄えられたりする。

その結果、血糖は元の値に戻る訳だが、この時、骨格筋や肝臓などでの利用や貯蔵の限界を超えて糖質が過剰に摂取された場合は、余分な糖質が中性脂肪に変換され、脂肪組織に貯蔵されることになる。

従って、身体が必要としている以上の糖質の摂取は、体脂肪の過剰な蓄積、すなわち肥満を引き起こす原因となることから、近年流行した糖質を極力省いた食事によるダイエットは、脂肪の蓄積を予防することが可能となる訳なのだが、食事によって摂取した脂質も中性脂肪として脂肪組織に蓄積されることになり、必ずしも糖質だけを省いた食事がダイエットに有効であるということにはならない。

それは1gあたりの糖質と脂質のエネルギー量を比較しても一目瞭然であろう。

そして、血糖値が上昇した際にはインスリンというホルモンが分泌され、骨格筋や肝臓などの組織に作用しこれら組織の血糖の取り込みが促進される。

インスリンは、主に骨格筋や脂肪組織、肝臓に作用し、その中でも骨格筋は血糖の約70%を取り込むとされており、骨格筋に取り込まれた血糖は、エネルギー源として利用されるかグリコーゲンとして骨格筋内に蓄積される。

従って、骨格筋量が多いということは、それだけ血糖を取り込むスペースが多いと考えることが出来るため、食事等を摂取した際の余剰となる血糖が少なくなり体脂肪の蓄積を予防することができると考えることができる。

最近ではダイエットのための運動ということで筋力トレーニングが推奨されているが、筋力トレーニングによって骨格筋の量を増加させると太りにくくなるといわれている理由の一つとして上述した理由が挙げられる。

少し話がそれたが、血糖値の上昇に際して分泌されるインスリンは脂肪組織にも作用し体脂肪の分解を抑制するとされ、また、血中に存在するリポタンパク中の中性脂肪の分解を促進し脂肪酸の脂肪組織への取り込みを促進させるとされている。

これらのことから、血中のインスリン濃度が上昇している状態は体脂肪の分解が抑制され、脂肪組織における脂肪酸取り込みが促進されることから体脂肪が蓄積しやすい状態であると考えられ、このことを理由に急激なインスリンの分泌を避ける食事を摂ることで効果的なダイエットを行なうというのが最近流行した「低インスリンダイエット」である。

しかしながら、食後に全くインスリンが分泌されないということはなく、脂肪組織におけるインスリンの作用を完全に排除することはできないことから、食事における糖質の量や種類をコントロールするだけではなく、脂質の摂取量にも注目し摂取エネルギー量全体をコントロールすることが重要であるとされている。

いずれにしても、私たちが生命活動を維持する上で体外から栄養素を摂取することは必要不可欠な行為であり、その摂取量を適正にすることで体脂肪の蓄積を防ぐことができることは事実であるのだが、食事制限をすることによって、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスにマイナスを生じさせることが果たして体脂肪の減少に結びつくのであろうか?

食事制限は古くから行なわれているダイエット方法の一つであるが、食事制限によって摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスにマイナスを生じさせることで体脂肪を減少させることができるのか否かについて考察する上で、まずは絶食時における代謝をモデルとして考察、推論してみたい。

前述の通り、私たちが生命活動を維持する上で脳の機能を保つことは最重要課題となり、脳の唯一のエネルギー源である血糖を体内に確保することが代謝の役割の一つであるといっても過言ではない。

食後には、血糖値が上昇することは前述の通りであるが、絶食時などでには血糖値が60mg/dl以下にまで低下することがあるとされている。

このような状態が進むと、私たちの身体は血糖を維持するために、肝臓に蓄積されているグリコーゲンを分解して血糖を補充し、さらに骨格筋が分解されて血中に放出されたタンパク質(糖原性アミノ酸)から肝臓で血糖が生成される。

これらのことから、食事制限によるダイエットは除脂肪体重、特に骨格筋量を減らす可能性が高く、体脂肪の減少には有効ではないといわれているのである。

さらに、絶食時には体脂肪の分解が促進され血中の遊離脂肪酸が増加しエネルギー源として利用されることになるのだが、一部の脂肪酸を除いて脂肪酸からは血糖が生成されないため、脳のエネルギー源を維持するという側面では機能していない。

しかし、絶食が続き「飢餓状態」に陥ると脂肪酸は肝臓で「ケトン体」という物質に変換され血中に放出されることになり、このケトン体が血糖の代替として脳のエネルギー源として利用されることになる。

一時期問題視されていた「ダイエット臭」はこのケトン体が原因であるとされているが、ケトン体が多く生成されているということは、すなわち飢餓状態を意味することになり、身体にとって危険な状態であるといえよう。

また少し話がそれたが、いずれにしても絶食時においては、血糖を維持する(血糖を節約する)ために体脂肪がより多く分解され、血中に放出された脂肪酸が優先的に骨格筋等でエネルギー源として利用されることになる。

これらのことから、食事制限は体脂肪の分解を促し脂質を優先的にエネルギー源として利用することが可能となると考えることができるので、ダイエットに有効であると考えられているのである。

以上を踏まえて考えれば、食事制限は、除脂肪体重の減少にも、体脂肪の減少にも何らかの影響を及ぼすと考えられるのであるが、果たしてその真意はいかなるものなのであろうか?

前述した通り、体脂肪が分解され血中に放出された脂肪酸は血糖に変換することができず、人間の生命維持機能に着目すれば血糖を維持するという機能が優先されることが予想されることから、食事制限によってエネルギーバランスにマイナスが生じた際には、肝グリコーゲンの分解や骨格筋の分解による血糖の生成が優先される可能性が高いのかも知れない。(ただし、絶食時おけるエネルギー源としての役割は糖質(グリコーゲン)、脂質、タンパク質となるのだが・・・)

もちろん、糖質の量や種類によってはこの限りではないことも考えられる。

また、脂肪酸が骨格筋においてエネルギー源として利用されるためには糖質(血糖あるいはグリコーゲン)が骨格筋によって分解される際に生じる「オキサロ酢酸」が必要となることから、体内における糖質が絶対的に不足している状態では脂肪酸がエネルギー源として利用され難くなる可能性が高いかもしれない。

さらに、食事制限下においては脂質が優先的にエネルギー源として利用されやすい状態であるとはいっても、安静時においては骨格筋における絶対的なエネルギー需要量が少なく、より多くの体脂肪を減少させるという側面において、食事制限による摂取エネルギーの抑制だけに頼るのは非効率であるといえるかもしれない。

以上はいずれも推論ではあるが、古くから「食事制限によるダイエットは体脂肪の減少には効果的ではなくリバウンドしやすい」といわれていることを踏まえて考えれば、これらの推論を否定することはできず、偏った食事制限によるダイエットは効果的ではないと考えることができるだろう。

従って、ダイエットを行なう上では、食事制限によってただ単にエネルギーバランスにマイナスを生じさせるだけでは体脂肪の減少を促すには不十分であり、体脂肪を減少させるためには脂肪酸がエネルギー源として利用される状態を引き起こすこと、すなわち、骨格筋でのエネルギー需要量の増大=身体活動量の増大が必要であると考えられる。

これらのことは多くの研究結果から「食事制限と運動によるダイエットが効果的である。」といわれていることからも理解することができよう。

ただし、より多くの脂肪酸をエネルギー源として利用するためには骨格筋の脂質酸化能力が高いこと、血糖がある程度のレベルで維持されていること等の条件が必要になるといえるのだろう。
posted by NOGU at 12:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ダイエット情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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