2006年05月06日

筋線維組成と持久性トレーニング方法について考える

59dea338.jpg私たち人間の運動能力はトレーニングによって獲得される後天的なものだけでなく、先天的な資質によって左右されるともいわれている。

特にトップアスリートは人間の能力を最大限に高め、身体の限界に近い状態で競技を行なうため、そのアスリートが有する先天的資質が競技パフォーマンスを左右する重要なポイントになることが多いと考えられていることは以前にも報告した通りである。

しかしながら、近年、トップアスリートには優れた先天的資質が必要であるのは事実だが、その関与の度合いは従来考えられていたよりも低いことが明らかになりつつある。従って、高いパフォーマンスを獲得するためには、アスリート個々の持つ資質を活かすよう適切なトレーニングプログラムの構築が必要不可欠となるといえよう。

ところで、スプリンターのパフォーマンスと筋線維組成との関係を見ると、速く走るための必要条件として筋線維組成(%タイプU線維)は重要な因子であるとされているが、長距離ランナーにおける筋繊維組成には人それぞれ「ばらつき」が多く、筋線維組成が長距離走競技パフォーマンスを決定する要因であるとはいい切れない。

もちろん、エリート長距離ランナーにおいては高い比率でタイプT線維を有するランナーが多く存在するが、速筋線維、遅筋線維の割合が半々であっても高いパフォーマンスを有するアスリートが存在するのも事実である。

古くから、持久力を評価する指標としては「最大酸素摂取量」が用いられるが、末梢レベル(骨格筋レベル)において持久力を評価する指標として酸化系酵素活性が用いられることも少なくない。

持久性トレーニングを継続的に実施した後、数週間のディトレーニングを行なった際に、最大酸素摂取量の減少と酸化系酵素活性の減少に違いがみられたとの先行研究もあり、この研究結果から最大酸素摂取量と酸化系酵素活性の間には密接な関係がないことが示唆される。

また、アフリカとアメリカの中長距離ランナーにおける持久的身体能力の比較を行なった研究では、アフリカランナーはアメリカランナーと比較して、%タイプT線維、最大酸素摂取量が低く、酸化系酵素活性及び疲労耐性が高かったことが報告されている。

これらのことから、先天的にそのアスリートが有する筋線維組成によって強化すべき持久性要素が異なることを示唆していると考えられる。

いい換えれば、筋線維組成の異なる持久系アスリートに対して持久力を強化するためのトレーニングを処方する際には、そのトレーニング方法を変えた方が効率的であるのかもしれないということになる。

また近年、フルマラソン競技においては高速化がみられ、これまで持久性競技の代表とされてきたトライアスロン競技においてもドラフティング解禁によるスピード化の波が押し寄せてきており、これまでの持久力要素とは異なる資質を持つ新しいタイプの持久系アスリートの発掘及び育成が必要であると考えられる。

以上を含めて、筋線維組成に伴った持久性トレーニング方法が確立されることの意義は大きいと考えられよう。
posted by NOGU at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | トレーニング情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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