2006年08月15日

タンパク質・アミノ酸代謝系酵素と運動

f81bdcd3.jpg分岐鎖アミノ酸の分解系酵素は全てミトコンドリア内に存在する。

この系の第一反応ではアミノ基転移酵素により分岐鎖アミノ酸から分岐鎖α-ケト酸が生成され次いでそのケト酸は分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素(branched-chain α-keto acid dehydrogenase =BCKDH)複合体による酸化的脱炭酸反応を受けコエンザイムA(CoA)化合物に変換される。

これらの酵素は3つの分岐鎖アミノ酸に共通に作用するが、これ以降はそれぞれのアミノ酸に独自の分解系が存在し、全ての分岐鎖アミノ酸代謝系は最終的にクエン酸回路に合流する。分岐鎖アミノ酸分解の調節は、第二ステップのBCKDH複合体により行われ、この酵素の活性が全ての分岐鎖アミノ酸の分解を律速(反応速度を決定)すると考えられている。

BCKDH複合体の活性は酵素タンパクのリン酸化と脱リン酸化により調節されており、リン酸化による酵素の不活性化は特異的キナーゼ(BCKDHキナーゼ)により、また脱リン酸化による活性化は特異的ホスファターゼ(BCKDHホスファターゼ)により行われる。

運動は骨格筋のみならずその他の組織タンパクの分解を亢進し、遊離の分岐鎖アミノ酸濃度を上昇するが、骨格筋では分岐鎖アミノ酸アミノ基転移酵素の活性が高いので分岐鎖アミノ酸濃度の上昇と共に分岐鎖α-ケト酸濃度も上昇する。

骨格筋BCKDH複合体は、安静状態では極めて低い活性状態であるが、基質の濃度が上昇するとBCKDHキナーゼ活性が抑制され活性化される。

従って、運動は骨格筋のBCKDH複合体活性を上昇し、分岐鎖アミノ酸の分解を促進するとされる。

この運動刺激が繰り返して加えられたトレーニングされた骨格筋では、非トレーニングの骨格筋と比べてBCKDH複合体の酸素量が増加しており、さらに安静状態の活性も高い。

従って、トレーニングは運動時のみならず安静時の分岐鎖アミノ酸の代謝を促進する状況をもたらすと考えられる。

この所見はアスリートが一般の人よりも多くの食事タンパクを必要とする基礎的なメカニズムの一つであろう。
posted by NOGU at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ医・科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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